科学・医学イラストに用いるスカルプトとテクスチャー

近年、科学・医学の視覚化分野での3Dアニメーションおよび詳細で正確なデジタルモデルの利用が飛躍的に高まっています。世界中の多くの科学・医学イラストレーターが、ZBrushでイラストレーションを作成する方法を学んでいます。Maya等のアニメーションパッケージと組み合わせる事で、ZBrushは複雑で解り難い科学的な事象を目で見て理解できる内容に変換する事をサポートします。

正確な解剖図はZBrushで作成するのにぴったりの内容です。ZBrushでは骨格から組織、血管、細胞のレベルまで造形を行う事ができます。ZBrushの彫刻ツールは、才能ある医学イラストレーターに新しい道を開きます。ハリウッドのアーティストがリアルな生き物を創造する事が可能なツールは、正確な解剖モデルを作る用途にもまた最適なソフトウェアなのです。

3D Layerのような拡張機能は、医学イラストレーターがダイナミックにディテールレベルを調整するのに役立ちます。SubToolsは、血管、リンパ節、筋肉、神経などのレイヤーを表示・非表示して見たい・見せたい部分を強調するのに役立ちます。ZBrushではオリジナルモデルデータを破壊せずに様々なバリエーションを作成する事が可能なので、一度ベースとなるモデルを作成すれば、他の様々な科学原理を解説する為に再利用する事ができるでしょう。まさにモデルデータはあなたの財産となります。

ZBrush アーティスト:
Marc Boulay & Sylvia Lorrain
ZBrush アーティスト: Javier Tapia Guadix - Juice
ZBrush アーティスト: Matt Briggs

豊富で正確なコンテンツの生成

ZBrushのPixolテクノロジーは、1つのイラストレーションに2.5次元と3次元のエレメントを混在させる事を可能にします。おそらく、非常に複雑な医学モデルの断面図を作る事は他のソフトウェアでは難しいか不可能でしょう。ZBrushでは2.5次元Pixolレベルでのブーリアン表現も可能です。無料の ZAppLink プラグインを使えば、PSDフォーマットを扱えるイラストソフトウェアとの連携も簡単に行う事ができます。ZBrushのキャンバスを一端 Photoshop等に送って編集した後、ZBrushに戻すなんて事も簡単にできます。まるで、PhotoshopがZBrushのプラグインであるかのように利用できる訳です。


3Dスキャンデータの編集

ZBrushは非常に大量のポリゴンモデルを扱う事ができます。3Dスキャン(CTスキャン)やボクセルデータのような非常に高精細なスキャニングデータもZBrushに読み込む事で高度な加工を加える事ができます。2Dスキャンしたデータにペイントを加える事も可能でしょう。(※ZBrushで読み込む為には3Dスキャンデーターを予めOBJ形式に変換する必要があります。)

3D Print Exporterを使えば、ZBrushからSTLやフルカラー情報込みのVRMLデータを出力できます。これらはフルカラーの3Dプリンターで出力するのに最適です。ZBrushで作成した医学・科学用のデータをフルカラーで3Dプリントして実際に手に取る事を想像してみてください!実際にそれが可能なのです。

ZBrushの能力は、ビジュアリゼーションが求められる科学的なフィールドにも大きく影響を及ぼし始めています。歯科学、考古学、細胞生物学、地質学、医学、等様々な分野で使われています。 大規模で詳細なジオメトリデータを扱え、自然でアーティスティックに操作できるZBrushの加工ツールが、あなたの手に無限の力を与えてくれるでしょう。

 
この火山のイラストレーションは、3Dオブジェクトと2.5D pixolの特徴をうまく組み合わせて作成されています。ZBrushCentralでこのイラストレーションを制作する過程が作者のArran J Lewis氏により紹介されていますので、ぜひチェックしてください。
ZSketchを使って頭蓋骨上に筋肉組織を再現しています。Moveブラシや各種 ZSketchブラシを使えば正確に細部を調整する事ができます。
Ty Shelton氏によるイラストレーション
モデルを幾つかのSubToolパートに分割してイラストを出力する事により、効果的な解剖学的演出を行う事ができます。
イラストレーション : Christan Bull - 3DFramework